カギ屋さん③

おじさんの店は外から見るとかなり古いように思える。甲子園のように壁全体に蔓が張っている。





しばらくボーっとして外を眺めていると、さっきの女子高生が僕の両親を連れてきた。

えっ!!??なんで???なんで彼女が両親を連れて来たの?



父「オイ、こんなとこで何やってんだ。お母さんずっと心配してたんだぞ」
母「お前を待つことにどれだけ神経をすり減らしたか・・・」
お母さんは本当にギリギリですごく怖い。
制服姿の女の子は、殆ど表情を変えないで、横を向いてる。
兄さんがフォローしてくれた。
「僕が昨日から面倒見てるんです。ばったり会って話をしてたら、結構気が合いまして、今もお店を手伝ってもらってるんです」
母「ご迷惑をおかけして、すみません」
「ほら早くその服を脱いで、クリーニングに出して帰りますよ」


僕は今更自分の服装が変わっていることに気づいた。兄さんの趣味と思われる服を着ていた。いつの間に?寝ぼけてたのか?



ああでも、ここが何処だか分からない。クリーニング店はあるのか?・・・・・ってかクリーニングに出してそのまま帰るって、すごく失礼だなお母さん。


それに僕はまだきちんとお礼してないし。名前も名乗ってない。名乗ってない!?聞いてもいない!

自分はどうやって此処に来たんだろう?両親がなぜ此処にいるのか?そもそもあの場所が何の施設か、おじさんが何者なのか分からないし、聞きたいことだらけだ。
そこにいる女子高生は何者だ。
何もかも分からない。




それにまだ僕はカギを受け取っていない。