肌寒い夏の夕
遠くから夕焼けが来た。
すぐ近くなのに、とても遠い場所から。
僕は、そのきれいな色を、掴もうとしたけれど
空を掴むばかりだった。
何度も何度も試みたけれど、やっぱり同じだった。
ずっと前から同じことを、何度も何度も、繰り返しているような気持ちになった。
そうして、夕焼けを欲したことを後悔した。
こんなに綺麗なものがあるのに、絶対に触れることが出来ない。
どうしてだい?
どうして???
こんなに近いのに・・・
本当にすぐ近くなのに・・・
世界は夕に焼け
僕もその一部になる
全ての感情を押さえつけて
ただそこにある景色を眺めた
とても綺麗
夕焼け
その色は、あかね。
触れる必要はない。
ただそこにある。これからもずっと・・・