葉月の空




綺麗な夕焼けは
ほんの少しの間、考え事をしている隙に消えてしまった。
夜が迫って、危険と寒さを凌ぐ時間が来た。


必死で凌いだ。怯えて震えることもあった。



暗い夜は、考え事をするにはあまりにも長過ぎた。
苦悩は、より一層、夜の闇を増長させた。



僕は独り蹲る。泣くものか!


耳を澄まし、鼻を利かせ、全身で得体の知れない何かを感じ取った。
ただ耐える。
闇で音は良く響く。
耳を傾けた、時を浪費する代わりに。



良いもの、悪いもの、どっち付かずのもの

ただただ取り込んだ。善くも悪くも。
何が足りないのか分からないから。



何かが足りない。
恐れているものとは何なのか?
その何かを問い詰めたい。

答えは無い。自分の中には無い。何度も何度も探したんだ!





そうだ。外だ!!
外にあるんだ。僕はまだ何も知らなかったんだ。










少し気も安らいできた頃に、そっと外を覗いてみた。

黒から白へ

白から赤へ


夕焼けと見紛う程の赤

朝のあかね空は
いつもと違って清々しくて
妙に元気と勇気が沸いてきた。





『希望は朝に生まれる』





朝焼けはすぐに消え去り
夏の日差しに取って代わられた。


ジンジンジン



僕は太陽が大好きだ!!!
もっと心を焼いてくれ!!!






夕焼けは名残を惜しんで、遥か彼方。




ふと気付く。青い空も、とてもよい。



近いうちに、また会おう。
その時は茜空を見て泣いたりしないだろう。



有難う。